君がいなくなったって【短編】
そんな私の話を聞いて、リコは腕を組み言った。


「要するにナナミが言いたいのは。
『私、ヒロに会えなくて寂しくて寂しくてしかたないの。会ってくれなきゃ別れちゃうぞ、プン♡』ってこと?」


「ねえ話聞いてた?」


プン♡ってなんだ。

ぶりっ子みたいに口を尖らせて上目遣いをかましてくるリコを睨みつけると、一回咳払いをした後、リコは真剣な顔になった。


「本当にそれで良いなら別に良いんじゃない?
私は部外者だから、あんた達の決めることに関係ないし」


本当に、と力を込めて言ったリコ。

部外者というにはちょっかいかけてきすぎな気もするけど、頷いておく。


「ただし、最後くらいちゃんと会って話すこと。
ナナミの事だから、どうせ会ってくれないだろうしまあいいやって諦めるでしょ?

それ絶対ダメ。

もしそんな事したらあんたの課題ノートビリビリに破いて燃やして灰を海にばら撒いてやる」


リコが言うと本当にしそうだから苦笑いしか浮かばない。


「わかった、頑張る」


わかったならよろしい、と満足げに頷くリコ。

物騒なことは言うけど、なんだかんだ私のことを理解して、想って、考えてくれているその優しさに心が温かくなる。


ヒロがいなくなったって、私にはリコがいる。


そう思うと、ほんの少しだけ気持ちが軽くなった。
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