嘆きの断片
「あー」

 パーシヴァルは時折、訪れる参拝者に怪訝な表情を向けられ、ばつが悪そうに頭をかいた。

 こんなところに観光でもないだろうという視線が痛い。

 しばらくして、

「どうも。宮司(ぐうじ)の柄幹(えみき)です」

 装束(しょうぞく)を着こなした、三十代後半といった男が二人に丁寧なお辞儀をした。

 浅黄色(あさぎいろ)の袴(はかま)が彼の落ち着いた性格を表すように神社の景色によく映えている。

 まだ若いと思われる宮司の黒い頭髪には、幾本かの白い髪が散らばっていた。

 苦労したというよりも、そういう体質なのだろう。

 どちらも日本の人ではないと確認した宮司は、それにやや驚いて視線を上げる。

「遠いところを来て頂けて──」

「専用ジェットなんで快適だ」

 気にしなくて良いと笑顔を返す。
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