キミは主人公。~短編恋愛集~
生徒会長のビターチョコ






冬の球技大会、2月14日。

私は、初めて“逆チョコ”というものを経験した。



「好きです。付き合ってください」



相手は、小学校から一緒にいる友達、
新崎 輝(シンザキ テル)。

世間一般から見たら、そこそこイケメンで、紳士レベルで優しいし、背も高い。

私と輝の話を、ちょっと長いけど、丁度去年の今頃。
私が生徒会長で、輝が副会長をしてた中学生の時までさかのぼって聞いて欲しい。






いつも輝の近くにいた私は、小学校、中学一年、二年と、輝が一個もチョコを貰ってないことを知ってた。

や、正確には、毎年私が、


「モテなくて可哀想な輝君に義理チョコどーぞー!」

「わー、美琴毎年ありがとうー」


ってスーパーで買った安いミルクチョコあげてたから、毎年一個は貰ってたか。



でも、去年の冬は、違った。


_________


「新崎君、これ…」


輝が小学生の頃から片想いしてた、学年のマドンナが、私の目の前で輝にチョコを渡した。

輝は、潔癖症気味なところがあって、人の作った物は食べられないのに、手作りチョコを受け取った。


私は何故か胸が痛くなって、その場を逃げ出した。

< 6 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop