朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「………」
一対一で、育ての親に、師匠に。崇敬する存在に。
勝る。
「……心してます」
いずれは――いや、一刻も早く。
「――在義さん、龍さん」
「あ?」
「なにかな?」
二人が同時にこちらを見た。
椅子から立ち、頭を下げた。
「お二人はご存知かと思いますが、結婚したい方がいます。向こうのご家族には了承していただいています。――自分のいる世界が危険だということ、妻にも危機が及ぶ可能性があること、承知しています。それでも――絆は承諾してくれました。今後、自分の人生の半分は彼女のために生きます。……お二人は、俺の親のような方です。ご同意いただきたく願います」
「………」
龍さんは黙って俺を見ている。
在義さんは顎に手をやって首を傾げた。
「……半分?」