朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「そうなの⁉」
「じゃないと無駄にするだろう」
「えーと……」
確かに、と肯けるけど……。
「咲桜はこの辺りを片田舎とかいうけど、山ん中で育った俺らからしたら十分街中だよ」
「……そうなの?」
「まあ、あっちで使ったの鉈(なた)とかだけどな」
「包丁と鉈では随分違うと思うよ⁉」
どんだけワイルドライフだよ。
「そうか……。なら、鉈を使った料理とかなら出来るかもしれないな」
「野外でしてください! 家の中で鉈は禁止!」
何、新発見! みたいないい顔をする。
それに、それって銃刀法大丈夫なのかな。
でも鉈は農耕器具? だからいいのかな。
「――なあ咲桜。今日何があった?」
「え? 今日ですか?」
「朝から遙音が様子おかしくてな。何か知ってるか?」
「………」
カチ。私はフライパンをかけていたコンロの火を消した。