朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
傍から見てりゃすぐにわかる。咲桜自身の自覚はないが、マザコンが悪化してそうなったのだろうと俺は思っている。
母との永の別れがあまりただ事ではないから。
俺はまだそこへ踏み込んでこめはしないけど。
「でも、頼と友達をやめる気もありません」
「………」
「頼の近くにいれば、他の子が私たちに近寄りがたいことはわかってました。大前提、頼に対して恋愛感情とかそういうのはありません。友感情だけです。
でも――頼が周囲に距離を置かれる原因を作った罪悪感とか、そういうのを抜きにしても、もしも出来ていた女の子の友達の何人よりも、私は頼の友達でいることを選びました。
どんな経緯があっても、私はそれを選んでいた。そう思います。異性認識はありません。でも、縁を切ることも……出来そうにありません。ごめんなさい」
土下座した。ソファの上で。………うーん。
「……どうして、急にそんなことを?」
咲桜は頭を下げたまま答えた。