朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「娘ちゃんが菓子作りねえ。流夜の誕生日対策か?」


「え?」


「あれ、知らねえか? 流夜の誕生日。八月一日」


「そうなんですか? 誕生日って言ったら、咲桜―――」


「笑満―、待ってやってー。咲桜フリーズ中―」

 
私、龍生さんを見た格好のまま固まっていた。


笑満はそろりと離れて、頼の反対側に座る。


「知らなかったみたいだね」


「だな。笑満は、オトの方は知ってんの?」


「もちろん。十一月。久しぶりにお祝い出来るなぁ」


ほこほこする笑満とは反対に、私は冷風に吹かれていた。
 

まさか……誰に訊くこともしていなかった……。
 

今は七月半ば。テストは無事――若干私は憂いな思いをしたけど――終わって、私は苦手克服のためのお菓子作りをと、始めたばかりだった。
 

在義父さんに味見をしてもらって、そのとき龍生さんにも審判してもらうのを提案された。

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