ひだまり
彼女の名前は…………

う~ん。

確か………………なんちゃら………ゆい。だったような………。

来春採用予定の子で

再来週から始まる実習の説明を聞きに15時前にやって来た。

バスを乗るオレは、逢うこともないはずだったが……

何故か一時間半も過ぎた今……ここにいる。

園長の甥にあたるオレは……事前に履歴書に目は通していたが

園長、副園長、主任の3人しか甥だと知らないため

あまり首を突っ込むのも良くないと……サッと目を通すにとどめた。

写真の印象だと、おとなしい感じだったが…

ケンと遊ぶ姿は…

同じ年頃の園児に見える。

それでも笑顔が印象的で……パンツのことも忘れて

目が追ってしまう。

「あぁ!悠、お帰りぃ~」

ケンの声にハッと我に返り、再び近づくと

サッと立ち上がった彼女に

「お帰りなさい。」と…笑顔で迎えられた。

………………………………。

柄にもなくドキッとして

彼女の声には反応せずに

「ケン、いい子にしてたか?」とケンを抱き上げた。

彼女は気にすることもなく、ハウスの中に向かって

「先生。賢一君のお父さんが来られました。」と…

「「「お父さん??」」」

ケンとオレと

中にいた居残りの先生の声が揃った。

「悠~お父さんだって~」

抱いたままのケンにからかわれ、思わずしぶい顔になっていると…

「えっ?お母さんじゃないの??」と不安そうに出てきた先生は…

抱き上げたオレを見て

「あぁ~!悠人先生。」と笑顔が戻った。
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