ひだまり
「お疲れ様です。どうぞ。」

オレはニッコリ笑ってお酌をした。

仕事の話しや世間話をして……ついでのように

「さっき、気になったんですけど、先生ってスキンシップが多いですねぇ。
うちは、若い先生ばかりなので…セクハラだと思われたら大変ですよ。
今の時代…クビになりかねないですからね。
特に唯先生は…
園長を始め…オレや同期…主任も可愛いがってますから、みんなの目がありますよ。
『唯ちゃん』って呼んだり、手を触ると
セクハラだと誤解されかねないですよ。
クビになったら仕事も困るでしょうから十分気をつけてくださいね。
まぁ~先生は、セクハラ何てされないでしょうけど…。
本当に気をつけてくださいよ!」

オレの言葉にみるみる青くなる。

多分、これで大丈夫だろう。

安心して席に戻った頃、二人と一緒に笑いながら帰ってきた。

…………これでいい。

彼女が何も気づかない間に……全ての事が終わっているのが。

席に戻った彼女は…

いつになく、沢山笑い、沢山話した。

今は………

『いつも5人一緒に食べる夕ごはんが……家食』の訳を聞いて涙している。

偏食で一人だと抜いてしまう彼女のご飯事情を心配して四人が決めたのだ。

泣くなら…

今のようにみんなの愛情を感じて、幸せの涙を流して欲しい。

今日はみんな満足な顔をしている。



まさかこの後…

事の全てを彼女が知るとは思わなかった。

口止めを忘れたオレの失敗だ…。


< 41 / 74 >

この作品をシェア

pagetop