龍使いの歌姫 ~卵の章~
「薬草、薬草、どっこかなー?」

「ガァー!ガァー!」

「?クックレオの鳴き声だ」

耳を済ませると、クックレオの鳴き声に混ざって、子供の笑い声が聞こえる。

気になって鳴き声の方へ走ると、網に引っ掛かったクックレオが村の子供達に石を投げられていた。

「!!クックレオ!」

レインは急いでクックレオの元によると、庇うように両腕を広げる。

「止めて!クックレオが何か悪いことしたの?」

子供達は、石を持ったままレインを見る。

「そいつは、魔女の手下なんだぞ。カラスは昔から魔女に従って、不幸を撒き散らすんだ」

「緑の髪のおばさんは、魔女だって母ちゃんが言ってたぞ!お前も魔女だろ!」

この国では、魔女は不幸を招くものとして忌み嫌われていた。

だが、レインは首を振る。

「違うもん!姉さんは優しくて暖かくて、私の自慢で大好きなお姉さんだよ!!姉さんを悪く言わないでよ!」

「赤髪の癖に」

「もう良いわよこんな子。カラスで遊ぶのも疲れたし、別の所で遊びましょう?」

女の子が声をかけると、他の子供達は持っていた石をレインに投げてから、笑いながら村の方へと走って行った。

「………っ」

鼻の奥が、ツンと痛んだ。

レインは唇を噛み締め、クックレオを振り返ると、持っていたサバイバルナイフで縄を切る。

そして、キョロキョロと辺りを見回して、太い木の下に生えている草を摘み、クックレオの羽へと当てた。

「ごめんね。姉さんみたいに、煎じられれば良いんだけど……」

「ガァガァ!」

クックレオはレインに頬擦りすると、レインの顔を覗きこむ。

「慰めてくれてるの?」

「ガアガア!」

「……ありがとう」

レインはクックレオの頭を撫でた。

「……よし。薬草探そう!」

レインが立ち上がると、クックレオも翼を広げて飛び立つ。

それを見送ってから、レインは森の奥へと歩いて行った。

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