イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる


そういう日々が何日か続いた後、私は町田トレーナーを訪ねた先のスタジオで倒れてしまった。

午前の授業で、学校の周りを散策して好みの被写体を探すというハードワークが祟ったせいだと思った。
ただでさえ体調が良くないのに…

私は、町田トレーナーのスタジオのロビーで、長椅子に座ったまま気を失ってしまった。


「加恋? 大丈夫か?」


遠くから誰かの声が聞こえる。
私はゆっくりと目を開けてみた。
頭がガンガンして、そして、胃の下のあたりもキリキリ痛い。


「だ、大丈夫です…
すみません、迷惑をかけて…」


私は座ったはずの長椅子に横になっていた。
町田トレーナーが氷嚢でおでこを冷やしてくれている。


「熱中症かもな…
今日はかなり暑かったし、ご飯もちゃんと食べてないんだろ?」


私は意識は戻ったけれど、まだ頭が上手く回転してないみたい。
昼ご飯を食べたかどうか思い出せないから。

でも、ある事柄だけはすぐに頭に浮かんだ。




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