明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
強く背中を押す初子さんに観念して、店に足を踏み入れた。


「ねぇ、このお団子食べましょう」


彼女の提案でふたりとも好物のあんのたっぷり乗った団子を頼み、姉妹としての日常を楽しむ。


「今日ね、女学校のお友達に小説を貸していただいたの。それが面白くて、止まらないわ」


それから初子さんは目を輝かせて小説の話を始めた。

だけど、初子さんのように学がない私にはピンとこない。
それでも彼女が生き生きとしている様子を見ているだけで楽しい。


「その意見には納得できないな」


初子さんが自慢げに小説の所見を述べていると、うしろに座っていた男性が唐突に振り向き、突っかかってきた。


「な、なんですの?」
「ですから、その意見は間違っています。作者はそんなことが言いたかったわけではない」


それからしばらくふたりの押し問答が続いた。
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