あした晴れたら散歩に行こう
*(1)事件の始まり*

 雨の降る寒い日だった。うちの愛犬トトが死んだ。みんなトトのねている小さなクッションのまわりで泣いている。パパもママも、もちろん私も、、、

「トト、目を開けてよ、、」ママが言った。

「トト、あした晴れたら散歩に行こうって約束したじゃないか、、」パパも目を真っ赤にしている。



 可愛い犬だった。

 ヨークシャーテリアで、2キロ位しかない小さくて愛嬌のある犬だ。私が小学校1年のときに、パパが誕生プレゼントに買ってくれた。
 
 人間で言うと45歳くらいなのに、突然こんなことになるなんて、、お医者さんは、心臓発作みたいなものでしょうと言っていた。でもいきなり死んじゃうなんて、、

 つらいときもうれしいときもいつもトトと一緒だったのに・・彼氏にふられたときや友達とけんかしたとき、トトは私の愚痴を尻尾を振りながらニコニコして聞いてくれたっけ。

 その夜わたしはいつも抱いて寝ていたトトのいない寂しさでなかなか寝付けなかった。明日は中学校のテストだから早く寝なくちゃいけないのに、頭のなかでは元気なトトとの思い出がぐるぐる回っていた。そのうち頭痛と耳鳴りが始まり、ようやく寝付いたのは夜明け近くだった。

 次の日、事件は起こった!朝起きて私は自分の手を見ていた。毛むくじゃらの手を。これは何!?




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