俺がこんなに好きなのは、お前だけ。


違う。それだけじゃない。そんなんじゃない。
大志くんの表情が脳裏に焼き付いて離れない。あの、傷ついたような、顔。


あんなの……今でも好きじゃんか。


未練、あるんじゃないの?
今でも美夜ちゃんのこと……想っているんじゃないの?


だから、私とも付き合えないんだよね?


──「俺、お前のことが好きなんだと思う」


嘘つき。嘘つき。……嘘つき。


やっぱり君は、嘘つきだ。


ああ、もう……嘘つきなら、もう少し上手に嘘をついてほしい。
元カノと会ったくらいで仮面外されて、表情保てないなんて。


ふと空を見上げた。上を向くと、涙が首筋に這って流れてきた。


道に沿って植えられている木の葉は、茶色くなっており、落ちている葉は風に吹かれるとカラカラと音を立てて転がっていく。


どこまでも澄んだ秋の空。


初恋は叶わないって、よく聞く。だけど私は違う。叶えてみせるって息巻いていた。


初めて恋したくせに。恋したことなんかないくせに。なにもわかっていないのに、よくそんな図々しいこと考えていたな、自分。


私の恋だけは、特別だと思っていた。友だちでいたいと言われても、最近のふたりを思うと、いつかは叶うんじゃないかって妄想を膨らませて期待まで膨張させていた。


モヤモヤすることも、簡単じゃない恋に一喜一憂して、悩んできた。
だけどどこかで上手くいく未来ばかり夢見ていた。


そんなわけ……ないのに。

私は、バカだ……。



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