俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
受け取った手紙はかばんにしまった。
持っておくのも怖いけれど、捨てるのもなんだか怖い。
このままなにもなければ、これっきりだったらいいのだけど、ほとぼりが冷めるまでは一応持っておくことにする。
大志くんが先に教室に行き、私もうわぐつに履き替えていると「ちょっと」と、となりにいる結衣羽に肩を軽く叩かれた。
「どういうこと?佐野大志となにかあったんじゃなかったの?しかもあいつ、あんなキャラだっけ?」
「あー、話すと長いよ?」
「ももかがちゃんと逐一報告してくれないからでしょーが」
「ごめん、ごめん」
顔の前で両手を合わせて謝る。結衣羽はやれやれといった様子で笑って「全部話してよね」と腰に手を置いた。
私は教室までの道のりですべてを話した。
となりのクラスの女子生徒が大志くんに告白しているところを目撃したこと、私が憧れる恋を否定されて嫌いと宣言してしまい、関係が悪化したこと、そして昨日の放課後再び話してなんとなく一緒に帰ったこと。
「はーん。私が知らないところでそんなことがあってたのね」
「秘密にしてたわけじゃないよ」
「わかってるよ」
教室にたどり着いて席に着く。
大志くんはクラスメイトの男子たちと楽しげに談笑している様子。
でもほんと、"大丈夫か?"だなんて、心配されるとは思わなかった。