俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
私のクラスは和気あいあいとしていて、とても好きだ。ノリもいいし、陰湿ないじめもない。
だからやっぱりどう考えても、私の最高の学校生活を送るうえで足りないものは恋愛だけなのだ。
私の理想の男子を想像する。できれば、顔がかっこよくて、背が高くて、頭がよくて、クラスの中心にいて、彼氏にしたら毎日楽しくなりそうな人がいい。
……そう考えたとき、一番ぴったりな人がクラスにいることに気づいた。放課後の掃除当番のお陰で。
佐野大志。結衣羽が変なこと言うから、あの日以来気になって彼を無意識にも見るようになってしまった。
大志くんが彼氏になったら、毎日幸せだろうな。青春を謳歌できるんだろうな。
まあでも、そんなこと、天と地がひっくり返ったってあり得ないんだろうけど。
彼はいつだって真面目だ。授業中の大志くんを見ると目つきがいつも真剣で、黒板とノートを行ったり来たり。
隣席の友だちにこそこそ話しかけられたときにふと緩むその表情の変化は見ていてとても飽きない。
休み時間や放課後はいつも誰かと一緒にいて、囲まれている。
すぐ話題にあがるし、すぐ話を振られていたりと、大志くんは私たちのクラスに欠かせない人、第一位だ。
今だって放課後なのに、みんな大志くんの周りに集まって終わらない話に花を咲かせている。
そんな大志くんに最近とある噂がつきまとっているのが、気になっている。
「あ、またももか、佐野のこと見てる」
「み、見てないよ……!」
結衣羽が唐突に私の目の前にやってきて、ニヤニヤしている。
私は誤魔化しきれないことをわかっていながら必死に否定をする。