ヤルことからはじめよう
驚きばかりのクリスマスイブ
 どんなに疲れていても体調不良でも私の前では、いつも笑っていてくれた。たまにクサイ台詞で私を笑わせたり呆れさせたりしたけど、彼の前ではいつもより自然体でいられる自分がいた。

 持っている花を、ぎゅっと抱き締める。

 待ち合わせ場所に現れたときの小野寺さんの姿は、今まで見た中で一番素敵だった。

「何、思い出し笑いしてるの?」

 隣にいる彼が、不思議そうな顔で聞いてくる。

「この花を持ってた、小野寺さんを思い出してた。妙に似合ってたんです」

「亜理砂さんが持ってる方がお似合いですよ。俺が持ってたときは、怪訝な顔した通行人にじろじろ見られてしまったし」

 苦笑いをする小野寺さんの腕に、自分の腕をそっと絡めた。

「それは、振り返る程に格好いいからです」

「誉めても、何も出ません」

 そう言って私が絡めた腕をやんわりほどくと、指を絡ませるようにして手を握り締めてから、ズボンのポケットに入れる。

「本当はいつも着てるコートのポケットの方が暖かいんですけど、会社に忘れてきちゃって。早く亜理砂さんに会いたくて」

「小野寺さん……」

 ポケットの中で、私の手を強く握り締めてきた。手の平に伝わる小野寺さんの体温がやけに心地よく感じた。

 そのあたたかさを分けてあげようと、吸い寄せられるように小野寺さんの身体に自分の身体を寄せてみる。こうして仲良く微笑み合いながら帰路に向かったのだった。
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