アスカラール
美都は成孔から届いたメールを見るために、画面に視線を落とした。

『おはよう

昨日はちゃんと眠れた?』

特にたいした内容ではなかった。

(返す必要があるかどうかと聞かれたらないかも。

と言うか、成孔さんって暇なんだな)

美都はメールを閉じると、スマートフォンをカバンの中に入れた。

会社の最寄り駅に到着したので、美都は電車を降りると駅を後にした。

勤務先のビルが見えてくると、美都はハッと我に返った。

(成孔さんもこのビルの中にある会社に勤めているんだよね?

もしかしたら…いや、もしかしなくても会う可能性があるよね?)

そのことに気づいた美都は慌てて周りを見回したが、成孔らしき姿の人物はいなかった。

「おはようございます」

代わりに声をかけられたので視線を向けると、そこにいたのは高崎だった。
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