身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

「喉を傷めます。無理に話そうとなさらないでください」

 男性は低く告げ、大きな手のひらで私の背中を擦った。

 ……それは、とても不思議な感覚だった。

 私を混沌に誘う張本人である男性が、私の胸に木霊す不安も恐怖も、昇華させていくという矛盾。けれど、理屈じゃない。

 男性が刻むトン、トンと優しいリズムは、私を絶対的な安堵に包む。

 そんなふうにされていれば、いつの間にかとろんと瞼が重くなった。夢うつつに、男性が私を抱き上げたまま歩き出すのを感じていた。

 あぁ、きっと私は人智を越えた事象を目の当たりにして、消耗しているのだ。だって、それでなくとも私は今日、一日がかりの試験を終え……!!!


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