身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 だから浮浪児らはよく人を観察し、目線があったり、自分達への関心を示された時、ここぞとばかりに寄って来る。

 しかし今、俺を見上げる少年には、そういった素振りがない

「……うん」

 本来ならば、良識ある大人として取ってはいけない手段。けれど今は形振り構っていられない事情があった。

「腹は減っていないか? 今日は何か食ったのか?」
「……食ってるよ」

 ……間違いない!

「昨日貰った物はまだ潤沢にあるのか?」
「まだあるよ」

 俺のカマ掛けに、少年は素直に答えた。
 ……昨日、この子は普通の施しではあり得ない量の施しを受けたのだ。だから今日、この子は食べ物を乞おうとしない。

「けれど三日後は分からんのではないか? 君は何を黙っている約束で食べ物を貰った? 教えてくれたら新たに倍量を君にやろう」

 その日暮らしの浮浪児に口止め料という手段は有効でない。何故なら、この子らには守るべきものがない。


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