身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

「……私、怜那といいます。ブロードさん、それからドリアス牧師? これからご迷惑おかけするかと思いますが、どうかよろしくお願いします」

 そうして泣き笑いみたいに微笑んで、レーナが俺とドリアス牧師、それぞれに頭を下げる。

「レーナ、可愛い名じゃな。儂はこの街の教会の牧師で、ドリアスだ。ポーカーフェイスの下でムッツリのブロード坊ちゃんとは違って儂は紳士だ」

 すかさずドリアス牧師が一歩を踏み出し、レーナの手を取る。

 またしても事実と異なる戯言を繰り返すドリアス牧師に怒りが湧くが、レーナがフッと表情を緩ませたものだから、仕方なく口を噤む。

「ドリアス牧師、お世話になります」

 いつまでもレーナの手を握ったまま放そうとしないドリアス牧師を押しやってどかせ、レーナの手を取る。

「レーナ、俺が力になる。まずは現状を知る事から、ゆっくりとはじめていこう」

 俺がレーナの手をグッと掴み上げて言えば、レーナは俺に向かいクシャリと笑った。

「はい」

 その笑顔の可愛らしさに、息を呑んだ。

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