もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開
episode 6.

>>心を満たせる存在。




夏休みが終わり、二学期が始まって早一週間が過ぎ、9月下旬に迫った文化祭に向けて、校内は準備に大忙し。

文化祭前は授業時間を使っての文化祭準備となる為、授業はない。


準備と言っても屋台はかき氷だから、準備は他に比べれば比較的に少ない方に当たる。


看板やポスター、当日の当番決めその程度で済む。


しかし、看板やポスターこそが一番時間がかかる…



『…看板とポスター、手伝ってくれる人いない?』



買い出しに出ている漣くんと円ちゃんが不在の中、教卓の前で拓叶がクラスのみんなに呼びかける。


お願い…誰か…

当然、二学期が始まったから環境がリセットされる訳でもなく、まだ誰も拓叶と話そうとはしなかった。



「私、ポスターやってもいいよ!
ねぇ、もうみんなも協力しようよ…」


『ありがと…矢野』


「うん。
樹の言う通りだね。
内山くんがあたし達に何かした?
何もしてないのに無視はもうやめようよ」



クラスの中でも明るい矢野さんの言葉に、クラスの数人は頷いた。


あたしのせいで険悪になった拓叶とクラスのみんな…


学祭では元に戻ってほしいと思ってた。


だから…あたしも動かなきゃダメだよね!



「看板、誰か手伝ってくれる人いませんか!?」



自分の席を立ち、クラスの中で初めて大きな声を出した…─────






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