ありったけの力を、体重を乗せてかけた。

動かなくなるまで、こうしていないといけないような、そんな義務感があった。


...そのうち、動かなくなった。

私は大きく息をして、その場に立ちすくんだ。


合計三人。

全員頭を水の中に突っ込んでいる。

ぴくりとも動かない。

浴槽の水はなんとなく赤い。

こいつらが誰だかわからない。

だって顔が見えないから。

でも、恨んではないと思う。

私に恨んでいる人間なんていないから。

もしかしたら、面識さえもない人たちかもしれない。


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