絶対命令アプリ
放課後
颯樹の奴隷になってから放課後までは、今まででないほど早く感じられた。


「ちょっと貴美子大丈夫なの?」


教室を出ようとしたとき紗菜が駆け寄ってそう声をかけて来た。


今から颯樹の家に行くことを知っているのだ。


「大丈夫……」


あたしはそう返事をしたけれど、内心は不安しかなかった。


歩を利用して颯樹を押さえつけてもらうことはできる。


けれど、歩にはツバサ殺しという非道な事をやらせてしまったのだ。


今更助けてほしいなんて言えなかった。


歩にはこれ以上負担もかけられない。


「なにかあったらすぐに連絡するんだよ?」


そう言う紗菜の声もとても小さかった。
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