記憶のかけら
はじめの一歩
いつの間に寝てたんだろう。



周りがうっすらと明るくなって

今日も1日が始まる。

たぶん。



いつもと違うのは、

どこにいるのか、

何故こうなったのか、

理解を越えた状況にいるということ。

昨夜と変わらず、

何もないところに一人でいるということ。



こんな時でも

シャワーを浴びたいと考えてる自分。

呆れてしまう。



「お腹空いたな」

腹が減ってはなんとかだ。

車を降りて、

周りの様子を見に行こうと決心した。



とりあえず、

車を隠す方が良い気がして、

そろそろと注意深く運転した。

よくある海外ドラマみたいに。

犯人でもヒーローでもない、

善良な一般市民ですけど…w



立木の側まで移動して、

木の枝や葉っぱで車を隠した。



車を降りる時、

いつもの習慣で

無意識のうちにバックを手にし、

車をロックした。



朝日が徐々に周りを照らし出し、

勇気を出して、

一歩踏み出した。



眩しい光を遮さえぎるのに、

左手をかざして影をつくる。



光がブレスレットに当たり

「キレイ」と思った瞬間、

大きな黒い塊が飛び出してきた。



「きゃっ!?」

小さな悲鳴を飲み込む。

なに?



唸り声の方を見ると、

猪!?

かなり大きな、

いやいやずいぶんデカイ!

牙を持った猪が、

こっちを見て興奮してる。



「!!!」

あり得ない!



逃げようとするも、力が抜けて腰くだけ状態。



でも、逃げなきゃ…



持ってたバックを振り回す。

振り回してるうちに、中身が散乱した。

無我夢中で携帯を掴んだら、

フラッシュがたかれ、シャッター音がした。



猪が怯んだ!と同時に、

飛んできた矢が、猪を貫ぬいた。



一瞬の出来事だった。



「助かった!」

心の中で呟いて、その場にへたりこんだ。



気がつけば、

私の前には矢に刺さった猪よりもデカイ、

大きな男が立っていた。



一瞬でも「助かった!」と思ったのは、

間違いだったかも…



嫌な考えが頭をよぎった。

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