"鬼"上司と仮想現実の恋
「旭ちゃんも晴ちゃんも、もちろんかわいいん
だけど、みんながかわいいって言うのは、
双子だからだよ。
特に小さい頃は、どんなに暁里が
かわいくっても、そっくりのかわいい顔が
2つ並んでる方がインパクト強いから、
どうしてもそっちに先に目が行くんだろ?
その後で暁里に気づくから、ほんとに
かわいいと思ってても、つけ足しみたいな
褒め方になったんだと思うな。
暁里は、旭ちゃんより、晴ちゃんより、
綺麗でかわいいよ。」

悠貴さんが、私の目を見て微笑む。

こんなベタ褒めされた後に、微笑んで見つめられたら、もうどうしていいか分かんない…

「ふふっ
暁里さん、かわいい!
耳まで真っ赤よ。」

お母さんに言われて、さらにどうしていいか分かんなくなる。

「暁里さんちは、美人3姉妹なのね。
うちはひとりっ子だから、羨ましいわぁ。
私、ほんとは女の子が欲しかったのよ。」

お母さんが朗らかに言う。

「ちょっと、母さん!
それ、俺の前で言う?」

ちょっとむくれた悠貴さんがかわいくて、私も思わず、笑ってしまった。
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