"鬼"上司と仮想現実の恋
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1時間後、桜の隣にいたはずの百合ちゃんが石原さんに捕まっていた。

「あれは、まずいよ。
あの人、飲ませ上手だから、百合ちゃん
潰されちゃうよ。」

私が言うと、

「ああ、ほんとだな。
田中、富田をこっちに連れてこい。」

と悠貴さんが言った。

だけど田中君は、チラッと百合ちゃんを見て、

「子供じゃないんだから、大丈夫ですよ。」

と言って動こうとしない。

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15分後、百合ちゃんを挟んで、石原さんと新人の岡崎さんが座っていた。

2人で交互にビールを注いでいる。

「あれ? 意外。
森くんの方がチャラそうに見えたのに、
岡崎さん、意外に手が早くない?
あれ、セクハラでしょ?」

石原さんは、酒を注いでいるだけだが、岡崎さんは、百合ちゃんの肩を抱いたり、耳元に顔を寄せて話したりしている。

「はぁ………」

田中君は、ため息を1つ吐いて、立ち上がった。

「富田さん、部長と瀬名が呼んでるから、
ちょっと来て。」
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