"鬼"上司と仮想現実の恋
「百合ちゃん、昨日は、わざわざ遠くまで
来てくれて、ありがとね。
すっごく嬉しかったよ。」

私が言うと、

「暁里さんの花嫁姿、見たいなぁって
言ったら、田中さんが連れてってくれるって
言ってくれたんです。」

と百合ちゃんはにこにこ話す。

「ねぇ、百合ちゃん、なんかいい事あった?」

私が聞くと、

「え!? なんでですか!?」

と百合ちゃんは頬をピンクに染めた。

「うんうん、あったんだね。
いいよ、分かったから。
連休明けにゆっくり聞かせて?」

私が言うと、百合ちゃんはさらに赤くなった。

「田中君に、『よくやった。おめでとう!』
って伝えておいて。」

そう言った直後、百合ちゃんの後ろから田中君が現れた。

「あ、田中君!
昨日はありがとう。」

私が言うと、

「別に。
部長、瀬名、ご結婚おめでとうございます。
ってか、もう瀬名じゃないんだよな?」

と苦笑いをこぼした。
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