艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
パーティの途中、お手洗を理由に会場を少しの間抜け出した。
広いフロアの壁にところどころに置かれたソファに、腰を下ろす。
いつ誰が見ているかもわからないからあまり気を抜くわけにはいかないけれど、帯を潰さないように軽く背凭れに身体を預けた。
……葛城さんは、悪くない。
彼はずっと、婚約者として誠実に接してくれている。だけど、本来愛し合って結ばれるのだろう人たちにはない不純物が、私たちの結婚には混ぜられている。あくまで会社の利益が前提だということが。
最初からわかっていたことなのに。政略結婚でも、気持ちが伴うようになればうまくいくと思っていたのに、思っていたよりショックだった。
愛情ではなく誠意なのだということが。