艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
ごめんなさい
***


真夏の日中だ。
強い日差しに、日傘をさしてもくらくら眩暈がしそうだった。できる限り地下や屋内を歩いて、彼の会社の住所までスマホのナビを使って歩いた。


「うわ……綺麗」


とてもきれいな、大きな窓がいくつもある洋館のような建物だった。入口に近づくと、一般開放されている一、二階のフロアマップがあってまずはそれを確認する。


二階には『パティスリーカツラギ』のケーキが食べられるサロンがあり、スイーツの他に軽食なども出しているようだ。二階フロアの窓側全面がサロンのテーブル席になっていて、目の前の大通りや街路樹を楽しめるようになっている。


一階は主にロビーのような空間で、和菓子ブランド『葛城』の店舗がありこちらも店内飲食ができるようだ。
日傘を畳んで一階フロアに足を踏み入れる。平日だけれど、この近くには商業施設もありそこから人が流れてくるのか暑さからの避難なのか、思っていたよりも人が多かった。


フロアの半分くらいは吹き抜けで、幅の広い大きな階段がありそこから二階に行ける。


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