Voice -君の声だけが聴こえる-
「気の強い人だって聞きました。いじめをしていた、とか」

『昔からはっきり物を言う子ではありましたね。そういう性格なのだから仕方がないのでしょうけど、敵を作りやすい子だったことは否定しません。中学に上がってからは疎遠になってしまったので、いじめについてはよく知らないのですけれど……』

 そうですか、と詠斗は腕組みをした。

 第一の被害者・羽場美由紀と第三の被害者・猪狩華絵は幼い頃から付き合いのあった間柄だった。美由紀の弟も含め、当然そこには共通の友人・知人が存在するだろう。その辺りをつついてみれば、どこかで仲田翼ともつながりが見えてくるかもしれない。

「……ねぇ、先輩?」

 はい、と美由紀の声が返ってくる。そこに先ほど滲ませていた悲しい響きはなく、いつも通りといった雰囲気が感じられた。

「もし犯人がわかって事件が解決したら……先輩、どうなっちゃうんですか?」

 ふと頭によぎったことをそのまま口に出してみる。

 もとはと言えば、美由紀に頼まれて始めた犯人捜しだ。その役目を果たし、美由紀の願いが叶った時、美由紀の霊は一体どうなってしまうのか――。

『残念ながら、それは私にもわかりません』
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