借金取りに捕らわれて 2
「ヒロちゃん、休憩入っちゃって。」


ジャガイモの箱を下ろしたところで、後ろから夏樹さんに声を掛けられた。


「今日のまかないはねー、僕特性サンドイッチだよ。」


そう言って厨房の真ん中にある作業台を挟んで、夏樹さんが料理の乗ったトレイを出してくれる。


三角に切られたサンドイッチと小鉢に入ったサラダ、そしてアイスティーが添えられていた。


「ありがとうございます。」


それを持ち上げようとした時、トレイの空いているスペースにコトリと小さなカップが落とされた。


「やる。」


視線を上げれば、無愛想な顔が通り過ぎていく。


「ちょっくら上行ってくらー。」


「あ、ありがとうございます。」


厨房を出ていく玄さんの背中に、私は急いでお礼を言った。


「良かったね。玄さんの人参プリンは格別なんだよ。」


夏樹さんがトレイにスプーンを置いて言う。


「人参プリン?」


「裏の畑で人参育ててるでしょ?収穫の時期にそれを使って、特別なお客さんにだけ出すんだよ。」



もう人参の季節か~

そう言えば…

お祖母ちゃんからも人参採れたから送るって、この前連絡着たっけ。



「あれ?今日特別なお客さんなんていましたっけ?」


そういった情報は厨房にも伝えられるようになっているのだけど、ホールスタッフは誰も伝えに来なかった気がする。


「今度来るんだよ。今日のは、今年の人参の出来具合みるために作ったんだよ。」


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