ハツコイ
その次の日、仕事から帰ってくると…




「……あ。」




何で…?



「あ、柚奈ちゃん!おかえり。」



何で、芽衣ちゃんがそこに立ってるの?




そこ…琉偉の部屋の前でしょ?



「ただいま。琉偉に用事?」




できるだけ平然を装って、笑顔をキープして聞いてみる。



「うん。昨日の話の続きを……って、ごめんね!柚奈ちゃんの彼氏なのに、無神経だったよね!?」



突然謝られると、どうしていいかわからなくなる。



「何か話していたんでしょ?それは別に…」




嘘。



ほんとは、こんなにも嫌だと思ってるのに…



「ほんと?じゃあ、ちょっと琉偉くん借りるね。」



天然なのか、計算なのか。



芽衣ちゃんはそう言って、琉偉の部屋のインターホンを鳴らした。





……ヤメテ。



心の中の私がそう叫ぶ。




なのに、実際の私は余裕ぶる。




「でも琉偉、残業でまだ帰ってないんじゃないかな?」



「そっかぁ。そーだよね!教えてくれてありがとう!じゃ、またねー!」




そう言って芽衣ちゃんは、あっさり自分の部屋に帰ってしまった。




なんか…嫌だな。
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