ハツコイ

「私…だって、忘れられなかった。ずっと…」



「うん。」




「琉偉にあんなステキな彼女がいるんだって思って、ショックだったんだよ?」




「…うん。」




「あんな風に自然消滅しちゃったこと、ずっとずっと後悔してたんだから…!!」




涙がとめどなく溢れてくる。




そんな私を見て、琉偉が呟いた。




「柚…シャーベット、溶けちゃうよ。」




確かに、残り一口のシャーベットが、溶けかけていた。




「うー…」




嬉し泣きなのか悔し泣きなのか、よくわからない涙を流しながら、最後の一口を口に入れた。





すると…





「やっぱそれ、頂戴…」






そう言って、琉偉の唇が私の唇に、触れた。



< 50 / 211 >

この作品をシェア

pagetop