いちばん近くて遠い人

13.忠告

　隼人さんと一緒に戻ってきた加賀さんが思ってもみなかったことを口にした。

「今日、南は武蔵と営業に行ってもらう。」

　え………。

「加賀さん！僕じゃないんですか？」

　隼人さんが抗議すると美智さんも「私も南ちゃんと行ってみたいです」と意見した。

「まぁ待て。ちょうど今日の武蔵が予定してるお客様は南の勉強にもってこいだ。
　隼人もミッチーも南に良さそうなお客様と予定している時に頼むことにする。」

　加賀さんと、じゃないんだ。
　心にぽっかりと穴が空いたような気がして、けれど何か言える立場じゃない。

「よろしくね。南ちゃん。
　行こうか。」

「………はい。」

「たっぷりしごかれてこい。」

　加賀さんにカツを入れられて「はい」と小さく返した。