おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
差し出されたのは水島くんが巻いていた紺色のマフラー。
気を使ってくれての優しさの様な気がして、ますます申し訳なく思えて
「大丈夫だよ」なんて断っていた。

「絶対寒いよ、その服装」

言葉と同時にマフラーはわたしの首に掛けられた。


「あっ…/ありがと…」


近すぎた距離に苦しくなって上手に笑えなくて、またね。と手を振って外に出る。

首に巻いたマフラーにそっと触れて静かな夜の中に立ち尽くすと一気に期待と不安が渦を巻く。

早く、早く、早く、息を切らし、チリンと音を鳴らして駆け込んだのは、やまやまのいる職場。


手には外したマフラーを握りしめていた。


小走りでカウンターからキッチンへ入ろうとすると、わたしをお客さんだと思ったやまやまが出てきてぶつかりそうになった。

「なんだよ、びっくりした」

と、驚くやまやまに「ただいまっ」と言った。

「おかえり、だいぶ長かったじゃん!楽しかった?」

やまやまの顔を見たらなんだか安心して、いつものわたしを取り戻した。

「ヤバイのぉーーー!」

と叫ぶわたしに、

「なに?やっちゃった?笑」

と、いつもの意地悪な笑顔。

「違うーーやってない!笑
どうしよーーう……
好きって言っちゃったぁぁー」

足をバタバタさせながら、助けを求めるような顔をした。
それを聞いたやまやまは、目をまん丸くして

「お前、はえーよ!」

と、メガネに手をあてながら崩れる様にガクッとして呆れるように笑った。

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