溺愛銃弾 ~フルメタル・ジャケット~
「いつもいい子で僕の言うこと聞いてくれるキミへのご褒美は、何がいいだろうね」
 
自信ありげな目と目が合って。小さく首を横に振った。

「・・・今でも十分だし」

すると手首を放した手が腰を掴まえてぐっと抑え込む。・・・奥に届いて勝手に躰が仰け反った。

「こんなので十分だなんて思われたら心外だよ。分からないなら・・・分からせるだけだよね」

彼が優しく笑ったその後の記憶は真っ白で。
一度目が醒めたとき、陶史郎さんはもういなかった。

朝。スマホのアラームで起こされ、リビングテーブルの上に書き置きを見つけた。
 
“今日の夕方は来られない。羽織りは僕の代わりだよ”

クッションの上に畳んで残された紺色の羽織り。手に取ってそっと抱き締める。少し胸がきゅっとしたのを、言葉にしたらどう言うのか知らない。

明日は来てくれるといいな。
・・・くれるかな。

待ち遠しいのか不安なのか。・・・自分でもよく分からなかった。
 


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