アッファシナンテ

春川「もちろん、私は執事ですから
ある程度の事は出来ます。
ですが、お嬢様の大切な日の
料理をお教え出来るほどの
知識も実力もございません。」

花恋「大切な日だからよ。」

春川「...え?」

花恋「崎本さんに初めて振る舞う
手料理だから、あなたがいいのよ。
シェフが作る料理のような
大それたもの私には作れないもの。
その料理は私の手作りではないわ。
背伸びせず今の私が作れる精一杯の
手料理を彼に振る舞いたいの。
だから、あなたが手伝ってくれないかしら?」

春川「かしこまりました。
お嬢様のお時間のある時に
練習致しましょう。
ですが、メニューはお嬢様が
お決め下さい。私はあくまでも
サポートするだけですから。」

花恋「分かった。考えておくわ。」

初めてだった。
誰かのために料理を作りたいと思ったのも
誰かの笑顔が見たいと思ったのも。

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