諦めるには値しない

~陶太side~


芹沢くんが一生懸命に
塗ってくれた真っ白い壁が
また真っ赤に染められていた。

ずっと我慢してきた。
ずっと気にしないようにしてた。

『ここはお前らみたいな奴が
来ていい場所じゃない。』

あの言葉を思い出さないように
ずっとずっと心の奥底にしまい込んできた。

芹沢くんたちは今まで
沢山の非難の声を浴びてきた。
それでも、芹沢くんたちは
バスケットを選んでくれた。

だから、僕も耐えなきゃならない。
自分の中で処理をして
芹沢くんたちに気持ちよく
バスケットを続けてもらう。
それが僕の胸の中に秘めた決意だった。

なのに、どこかの誰かが
僕たちの事を良く思ってない
事実を目の当たりにして
もう、その気持ちを処理し切れなかった。
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