花瓶─狂気の恋─

一種の呪いだと真帆は自分の運命に憎しみを感じた。

そしてその憎しみはどんどん膨れ上がり、怒りへと変わる。腹のモヤモヤがより激しく動く。溜まりに溜まった怒りは爆発。

真帆は勉強机からカッターを取り出し、自分の枕に突き刺した。


「なんで!私ばっかり!何したっていうのよ!!私をどうしたいのよ!!他のやつでも良かったのに何で私だけ!!なんでよ...なんでよぉぉぉぉ!!!」


怒りに任せて真帆は次々に枕にカッターの歯を食い込ませた。
枕の中から綿毛が舞い上がり、その中で真帆は何度も枕を刺した。


しばらくして疲れと怒りが収まっていき、真帆は綿毛が落ちているベットへ再び身体を預け、天井を見上げる。
怒りが収まると今度は悲しみ、辛さが真帆を襲った。涙が溢れ出て止まらない。


先輩は諦めたくない....だけど、もう嫌だよ...こんなの...


ドクンッ


真帆の中で鼓動が一回鳴り響く。それは心臓の鼓動とはまた別の何か。それ自体に真帆自身は気付いていなかった。



先輩をあいつから取り戻す...どうやって...
────カンタンダヨ


真帆の中で何かが囁く。


あいつの嫌な所を全部先輩に伝える?
────ソンナンジャアビクトモシナイ
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