先輩は、甘い。
甘い言葉


「I'm really thankful to you.
(本当にありがとうございました)」


「Sister, see you later!(お姉さん、またね!)」


「See you.(またね)」


元気に手を振る男の子に私も振り返してから、腕時計に目を通す。


「遅いなぁ…」


待ち合わせの相手は相変わらずマイペースらしい。


少し考えてから、迎えに行こうと顔を上げたその時、


「I improved well.(上達したもんだな)」


「えっ!?」


後ろから抱きつかれた懐かしい体温とその声に、私は勢いよく後ろを振り返った。


「ただいま、凛」


「っ、先輩…」


視界に広がった眩しい笑顔に、心臓が甘い音を立てる。


「俺が1年いないうちに、すげーできるようになってんじゃん」


「え…もしかして、ずっと見てました?」


「あぁ、もちろん。オロオロしてばっかの昔の凛は消えちまったんだなーと思いながら見てたよ」


「なんで残念そうなんですか。先輩の言ってた通り積極的に行動するようにしてたんですよ」


「ふーん……愛の力、ってやつか」


「はっ!?な、なんでそーなるんですか!?」


「素直じゃないとこは変わってないんだな」


クスクスと笑う彼に、まるで1年前に戻ったような感覚に陥る。

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