カボチャの馬車は、途中下車不可!?

なんてことをチラッと考えたのがいけなかった。

顔をそむけるタイミングを逃して、
彼女とばっちり。
目が合ってしまった。

案の定、彼女はカチンて音が聞こえる勢いで動きを止めて、さぁって青ざめていく。

「ま、真杉、さん……あのっ……これは……」
カタカタ震えて、可哀そうなくらい視線を揺らし始める。

そこまで動揺されちゃうと、私の方はかえって落ち着いてしまって。
何気なさを装いつつ、歩み寄った。
「もう体調は大丈夫なの?」

問い詰めてもいいけど……まぁ、そういう気分の時もあるよね。
甘いって、坂田あたりは言うだろうけど。

「今日ってプレ金なんだよね。私も直帰にしちゃった。お互い、たまには仕事忘れてゆっくりしようね」
じゃあまた週明けにね、ってさらっと手を振った。

よしよし、自然に話せた!
って、自画自賛したんだけど——

「真杉さん……っ」

切羽詰まったような声音に、ギョッと足が止まった。
振り向くと、突然。
目の前の女子が、ボロボロっと涙をこぼし始めたじゃないの。


え……えぇ!?
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