カボチャの馬車は、途中下車不可!?
16. 苦悩

——ごめーん、もう予定入れちゃった。また誘ってー!

うぅ。これで5人目……。
むくれながら、スマホを下ろした。

カラン……
ストローの先で氷をつついて。
ズズッて子どもみたいに音を立てて、アイスティーの残りを吸う。


久しぶりに、スケジュール帳が真っ白な週末だというのに……こんな時に限って、友達は誰もつかまらない。
「いつでも誘って」なんて言われていても、家庭持ちには声かけづらいしな。

何度スマホを確認しても、ライアンからの連絡はない。
私はまた、息を吐いた。


脳裏によみがえるのは……昨夜の彼だ。
電話を終えて戻るなり、「急用ができた」と慌ただしく帰っていった後ろ姿。

そこには、直前までのあの激情は影も形もなかった。

あの電話……誰からだったんだろう?
あれだけの熱を冷ましてしまうほどの、大事な相手だったってこと?

胸の内、ジワリと広がった冷たさは、アイスティーのせいじゃない。

頭では、わかってる。
私とライアンはつきあってるわけじゃない。
だから昨夜だって、何も聞かなかった。聞けなかった。

でも……ほんとは、知りたい。
彼の心、生活、そのすべて。

「好き」って言えば。
恋人になったら……教えてくれる?
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