新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない


「ハナちゃんってば驚きすぎだよー。確かにサツマっちは見た目は可愛いけど、中身は完全に俺たち男子と変わらないから──って、イテッ‼」

「ウッザ!」


ヘラヘラと笑ったカブくんの顔が歪んだ。

どうやらデスクの下でサツマちゃんがカブくんの脛(すね)を蹴ったらしい。

痛がるカブくんを前にサツマちゃんは鋭い視線を送っているし、ナスさんと根岸さんについては「今のはカブが悪い」と、頷いている。


「カブさんみたいに短期間で色んな女を渡り歩いてるクズ男より、数年彼氏がいないクリーンな私のほうが百倍マシっす」

「そ、それは〜」

「そもそも、ここ数年は仕事が楽しくて男とか考えてる時間なかったし。なんか、あんま必要性も感じないんすよねぇ」


キッパリと言い切るサツマちゃんは男前で、カブくんは返す言葉もないようだった。

考えてみたら私も、湊に出逢うまでは彼氏だとか考えている余裕もなかったんだ。

毎日、職場と病院、家の往復で……。

家では家事に加えてネットショップのこともあったし、日々の生活でイッパイイッパイだった。

でも、お付き合いといえば高校生の頃に一度だけ、同級生に告白されて付き合ったことがあったなぁ……。

それはもう可愛らしいお付き合いで、手を繋ぐだけで精一杯の関係だった。

三ヶ月が過ぎた頃、だんだんとメールの回数が減り、結局、向こうが受験勉強に専念したいとかで自然消滅みたいな形で終わったんだ。

今になって思えば私も彼のことを好きだったのかどうか曖昧だけれど、一応、青春の一ページと呼べる出来事だったかもしれない。

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