新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
君の心に愛の花。




「……運命の再会を、どう思う?」


PCの画面に映された名前を見ながら、らしくない質問をした。

すると前に立つ男は表情一つ変えることなく、実直に答えてくれる。


「運命の再会という言葉がある以上、実際にも起こり得ることだと思います」


良く言えば正論、悪く言うと堅物な近衛らしい返事に、思わず小さく笑ってしまった。



──花宮 桜。

可愛らしいその名前と三度目の再会をしたのは偶然だった。

偶然、社内で話題になっているネットショップの話を耳にして、そこの運営者を調べたためだった。

思えばそれまでの巡りあわせもすべて偶然だったように思う。

けれど数奇な偶然も重なれば運命に変わる──と思うのは、彼女と出会ったあの日から、彼女の名前を一度も忘れたことがなかったからなのかもしれない。

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