悪しき令嬢の名を冠する者
「俺も……昔、好きだった奴が死んだ」

「私が存じ上げないお話ですね」

「昔の話だからな」

「その方とはどういう関係だったんですか?」

 嫌な記憶が蘇る。しかし、彼の柔い箇所に触れてしまった自身には答える義務があるように思えた。
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