悪しき令嬢の名を冠する者
 色によっても変わってくるのだが、花が意図するのは、いい意味だけではない。裏の顔も存在するのだ。

 睡蓮の場合〝冷たさ〟〝遠ざかった愛〟〝繊細すぎる心〟等が該当する。

 そして睡蓮の、もう一つの花言葉。それは——



〝滅亡〟



 彼女の名前がヴァサーリーリエだからこそ、あんな亡くなり方をしたのかもしれない。

 国花が睡蓮だったからこそ、シュプギーは滅亡してしまったのかもしれない。

 そんなことを混ぜて、混ぜて、ないがしろにして、僕は命と共に捨てた。

 あの人が二度と姫にならないことを願って。
< 255 / 374 >

この作品をシェア

pagetop