悪しき令嬢の名を冠する者
 悔しいほどに温かい手には私を想う心がある。きっと、コレが信頼というものなのだろう。

 しかし素直に心を傾けてしまうには気が引けた。それは私の意地でもあるし、子供っぽい感情でもある。どうすればいいか分からない私は息を呑むだけで精一杯だった。

「レイニー様?」

「私の言うことは絶対よ。いいわね?」

「承知しました」

「だったら早く話しなさい。お前が私にどうして欲しいのか」

「貴女は、この国が壊れるまでの期間を二十年と言いましたね」

「ええ」

「同じことを言った人間がいるのです。興味ありませんか?」
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