不器用な暴君社長
section1



「ご、ご、ごめんなさいーーー!」


ドジな私は、運んでいた熱いお茶をこぼしてしまった。



それも、社長の胸にぶちまける形で…。



終わった…


私の人生終わった…



「っ!お前…」


クビね。


その言葉が来るはずだった。



だけど、まだ辞めたくない!


就活全部落ちて、ギリギリで受かったこの会社、次を探すのは大変だ。




「許してください!

何でもしますので…」



…言ってしまった…



今まで、この社長にクビになりそうになって、この言葉を言った人達は、みんな扱いに耐えられなくて自主退職している…らしい…


そんな噂が流れているから、禁句だったはずなのに…



「ねぇ、それ本気?」


「は、は、は、はい…!」


「へぇ…いい度胸してんね。


気に入った。


お前、今日から俺の奴隷ね。」


社長はそう言って、ニヤリと笑った。


平穏な生活にはもう戻れないだろう…


だけど、どんな扱いをされても自主退職なんかしない!


それを心に決めるしか無かった。




「とりあえず、お前、今から社長室に来い。」


「は、はい。」


社長室で何をやらされるんだろう…

そうビクビクしながら社長の後をついて行った。

< 1 / 12 >

この作品をシェア

pagetop