夏恋(ナツコイ)!
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「なぁ、夏季(なつき)ー誰か俺に紹介しろって」

「はぁ? なんであたしが、あんたなんかに紹介しないといけないのよ?」

「だってほら、おまえと2人で飲んでたって、盛り上がりに欠けるだろ? なんかもっとこう夏なんだし、ときめく出会いとかさ〜」

「なに言っちゃってんの? だいたい飲みに行こうって誘ってきたの、そっちだし。浩平(こうへい)みたいなのに、ときめく出会いなんてあるわけないでしょ?」

「うっせーよなぁ〜相変わらず。おまえって、ほんとときめかねぇわ」

「それはこっちのセリフだから。あたしだって、あんたになんかまるでときめかないしー」

お互いに「フン!」と鼻を鳴らし、そっぽを向く。

仕事終わりに、幼なじみの山崎 浩平と会って、居酒屋で飲んで軽口を叩き合うのはいつものことだった。


……そう、いつものことだったんだけど、何このうっとうしい感じって。

いくら幼なじみだからって、言っていいことと悪いことがあるのがわかんないのか、この無神経オトコは。

「ハァ〜イライラするわ!」

口にして、目の前のサワーをゴクリと飲んだ。

「イライラするのは俺も同じだっつーの! だから誰かいい女とか紹介しろよ」

そう言い返してくるのに、マジで腹が立つ。

「何度も言わせないでよ。浩平みたいなのに紹介するいい女なんていないし! そっちこそ、あたしにイイ男紹介してよね?」

「その言葉そっくり返すし!おまえに紹介するいい男なんていませ〜ん」

ニヤつく顔にさらにムカつきが増してくる。

毎度のことながら、目の前の浩平のことが真剣に嫌いになりそうになってきた。



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